婚姻歴のないシングルマザーが負担する保育園の保育料が
自治体によって変わってくる、つまり、
婚姻歴のあるシングルマザー並みの小さな負担となる、
ということを前回の記事で書きました。
では、実際、どれだけの市や区で、独自に、
保育料の算定にあたり寡婦控除をみなし適用して、
その結果、負担を小さくしているのか。
2013年(平成25年)10月1日現在、
札幌市、新潟市、千葉市、八王子市(東京)、奈良市、
岡山市、高松市、高知市、松山市、熊本市、那覇市の
11市に加え、新宿区(東京)が今月1日から適用を開始しました。
東京23区で初めての適用となった新宿区の動きは、
注目に値するといってよいでしょう。
徐々にかもしれませんが、
東京都の他の区にも波及していくのではないでしょうか。
次に、
婚姻歴の有無で、負担する税や保育園の保育料が
どれだけ違ってくるか、
八王子市(東京)のケース(今年度よりも前)でみてみましょう。
同市がモデルケースとしたのは、
年収201万円、2歳の子どもがいるシングルマザーのケース
(朝日新聞2013年9月22日朝刊参照)。
所得税 住民税 保育料 合計(円)
婚姻歴「あり」 10,800 0 0 10,800
婚姻歴「なし」 28,300 63,100 128,400 219,800
差 額 17,500 63,100 128,400 209,000
保育料のところで、大きな差がついているのは明らかです。
トータルの差額は、20万円以上にも及んでいます。
なお、前述の通り、現在、八王子は
みなし適用をしており(2013年度から)、
既に、保育料の差は是正されています。
同市は、是正した根拠として、
「子は親を選べない」ということを挙げています。
この根拠、何かと通ずるものはありませんか?
そうです。
婚外子(非嫡出子)の相続分を嫡出子の
2分の1とする民法の規定が違憲(憲法違反)であるとした
あの議論の中でも登場したものと。
賛否両論あるものの、
現代社会の流れは、
「子は親を選べない」など
本人〔子〕の努力をもってしてもどうしても
その地位・立場を変えることができない、
例えば、
差別・格差が生じている状況を
変えることができないようであれば、
これを是正すべき、という方向へと向かっている
といえそうです。
つまり、
不合理な差別は是正すべし、
という方向性です。
共通の源流は、「平等」、ということになります。