食材・食品偽装の歴史は古く
古代ローマ時代からあった・・・
以前聴いた国立T大学名誉教授のお話を思い出します。
例えば、
古代ローマ時代には、ワインに塩などを入れて味を変えていたとか。
私は、かつてチーズを200種以上扱っていたことから、
チーズやワインがいわば生き物であるということは
ある程度理解しているつもりです。
つまり、同じ商品でも、その年によって、自然と
味に違いが出てくるのはある意味普通の話であります。
ボジョレー・ヌーヴォー2013年の解禁日(11月21日)が
近付いてきましたが、
毎年味は違いますよね。
昨年の味はあーだったが、今年の味はこうだ、
みたいな話はよく耳にします。
古代ローマ時代には、出来のよくないワイン・
多くの人の好みに合わないようなワインに関しては、
味を意識的に変えちゃっていたんでしょうね。
今の世の中では、(ほとんど)あり得ない話ですが。
他にも、産業革命時代には、
ピクルスには銅で色をつけたり、
紅茶には流木を混ぜてみたりと、
まあ、色々あったようです。
19世紀には、ヨーロッパで「食品安全運動」が起こったほどです。
昔も今も、食材・食品偽装の根源は、
利益を求める飽くなき欲望にある、
ということでしょうか。
ちなみに、
ヨーロッパでは、
魚の卵を総称して「キャビア」ということがありますので、
その意味においては、
今日本で問題になっている「レッドキャビア」なるものは
偽装にならない、という見方もできますかね。余談ですが。
近年、中国の魚ブームにより漁獲高が急増し、
また、日本における計画なき乱獲により、
ものによっては、以前のように、
手に入りにくくなったものも少なくありません。
高くて美味しいのは当たり前。
私もそうですが、
人はできるだけ安くてかつ美味しいものを求める傾向が強い
と思います。
先述の通り、生産者側・供給者側の利益を求める飽くなき欲望も
あるでしょうが、
他方、
消費者側が安くていいものを求め過ぎたり、期待し過ぎたりするのは、
かえって消費者にとってよくない結果を招くのではないか、
と思う次第です。
メニュー(食材)偽装の根絶は不可能でしょう。
また、
今、日本のメディアで取り上げているメニュー(食材)偽装は、
氷山の一角でしょう。
この先1ヶ月ほどはどんどん発覚するのでは。
でも、この話題が報道されなくなると、
人は案外忘れてしまいがちです。
できるだけ忘れないで意識し続けることによって、
ある程度の緊張関係が生まれ、
そしてこれを保つことが、
偽装を減らす方向へと向かわせるのかもしれません。
なにしろ、古代ローマ時代から食品・食材偽装はあるのですから。