36.遺言の形式 -①自筆証書遺言 (手軽さNo.1! )


今日は、遺言の形式のうち、「自筆証書遺言」についてみていきましょう。

自筆証書遺言」は、日本で作成される遺言の中で、最も多いといわれています。
その理由を敢えて一言でいえば、手軽だから、ということになります。
様々なことにいえることですが、遺言においても、手軽さゆえにリスクを伴います。
以下、「自筆証書遺言」のメリットとデメリットをご紹介します。


■ 「自筆証書遺言」の〈メリット〉

・ 自分で作成できる
→ 筆記用具と紙があれば作成できます。

・ 訂正・書き直しは(手軽に)何度でもできる
→ この点は大きな特徴です。自宅にいながら、お金もかけずに、自分で、書いた内容を訂正・変更できます。
ちなみに、旧遺言書と新遺言書の2つが存在していたら・・・。書き直す以前の日付の遺言と書き直しによってできた新たな遺言との関係ですが、後者の内容と抵触する部分は、自動的に失効します。

・ 費用がかからない
→ 作成そのものは、第三者に依頼しないのですから、(高級紙などを買わない限り、)費用はかかりません。

・ 遺言書の存在と内容を秘密にできる
→ 遺言の存在そのもの、つまり、遺言を作成したこと自体を秘密にできます。もちろん、生前に、遺言作成者が遺言を作成したことを家族に言わなければ。あと、生前に、家族に発見されなければ、ですが。



■ 「自筆証書遺言」の〈デメリット〉

上記〈メリット〉と裏腹の関係にあるといってよいでしょう。

・ 無効の遺言となるおそれがある
→ 作成方法は、法律で厳格に定められています。自分で書ける手軽さはあっても、遺言書に不備があれば無効です。いくら一所懸命書いても、残念ながら法律上は意味をなしません。視力の低下した親が、子に代筆を依頼し、その子が書いたものも無効です。名称にあるように、「自筆」、つまり、自分で書いてはじめて「自筆証書遺言」といえるのです。

・ つかう表現や内容次第では、解釈が問題となるおそれがある
→ 相続財産を記載したつもりが、特定の不十分さゆえに、遺言通りの内容が実現されない可能性があります。また、解釈が問題となれば、子どもたちがもめないようせっかく書いた遺言書も、争いのもととなりかねません。

・ 遺言能力が争われるおそれがある
→ 遺言能力がない人(例えば、痴呆症の人)が作成した遺言書は無効です。遺言書作成当時、遺言能力が疑われたらややこしくなるでしょう。

・ 遺言書が発見されないおそれがある
→ 書いた遺言書は、家族に見られたくないから、隠しておこう。その結果、親が死亡しても子どもたちに発見されないことがあります。これでは、親にとっても、子どもたちにとっても、遺言書を作成した意味が全くなくなってしまうおそれがあります。

・ 紛失・改ざんなどのおそれがある
→ 保管には注意が必要です。第三者に保管を依頼しても、その人が誤って捨ててしまったら終わりです。また、家族の誰かが自分にとって都合のよい内容に改ざんしてしまうおそれも考えられます。

・ 家庭裁判所での検認が必要である
→ 勝手に開封してはいけません。遺言書を家庭裁判所に提出して、「検認」という手続を済ませなければなりません。そのために、まずは、家庭裁判所に「申立て」を行います。後日・検認日当日、残された家族の前で、裁判所書記官が封を切ります(余談ですが、検認より前に開封されていなかったという証拠を残すため、約1cm切れ端を封に残したまま封筒から遺言書を取り出します。)。上記の通り、改ざんのおそれもあるので、家族は、裁判官の面前で、筆跡の確認もします。このように、遺言書を発見した後、面倒であったり、内容が明らかになるまでに時間がかかるのが、「自筆証書遺言」の特徴といえるでしょう。


■ 保管について一言

上記〈デメリット〉にあるように、「自筆証書遺言」の場合、その保管に不安が残るという方も少なくありません。
報酬を支払うことになりますが、責任をもって預かってくれる信頼できる第三者に預けるのが確実でしょう。
当事務所・行政書士木村国際法務事務所 TOKYO JAPANhttp://www.kimuratokyo.jp)がお客様から「遺言執行者」に指定された場合には、「自筆証書遺言」の保管を引き受けます。他にも、「争いのない遺言書」を作成したいとお思いの方には、プロの視点からアドバイスもいたします。
03-5793-5937までお気軽にご相談ください。


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