政府は外国人労働者の受け入れを拡大する方針です。

以下、2月20日・21日の日経新聞の記事について、一部要約しつつ解説します。
20日の経済財政諮問会議での首相の指示を受け、官房長官と法務大臣を中心に、経済産業省や農林水産省など業界を所管する省庁と検討を始めることになりました。予定としては、内閣官房に検討チームを設け、今年の6月にまとめる「成長戦略」に対応策が盛り込まれます。

注目すべきは、検討事項に、入国管理法(以下、「入管」)の改正も含まれている点であります。具体的には、職種ごとに女性や高齢者の就労の余地がないか調べ、ITを使ったとしても人手が不足する業種を特定し、受け入れを検討するようです。その上で、必要であれば、現在「技術・人文知識・国際業務」・「技能」・「経営・管理」など18種の活動に認められている専門的・技術的分野の在留資格の対象を広げるというものです。つまり、職種の拡大を図るというものです。

また、上記職種の拡大と並行して、現行の18種ある在留資格について、その取得をしやすくするようです。つまり、ビザの取得要件緩和です。さらに、要件を緩和しつつ、受け入れ人数を増やすようです。増やすということになれば、現在、そして当面、人手不足が顕著な介護、農業、建設、運輸、サービスなどが真っ先に思い浮かびます。

では、政府がこのような方針を打ち出し、本格的に検討に入る背景には何があるのでしょうか。
現在、日本で働く外国人は約128万人です(2017年)。実に、日本全体の就業者に占める割合は2%。つまり、多くの方は驚くかもしれませんが、100人に2人(=50人に1人)という計算です。行政書士事務所の中でも、私たちのようなビザ業務の最前線に立っている実務家は、実感としてその多さについて意識しています。

ただ、実態としては、就労を活動目的としない留学生のアルバイト(※資格外活動として許可を取っていれば違法就労ではありません。)などに大きく頼っているのです。とはいえ、例えば留学生は、コンビニや居酒屋などで働くことが多いのであって、介護や建設の現場で働いているわけではありません。このような現状のもと、また日本の生産年齢人口が減少する中で、人手不足を補い、経済の活力を維持するには、ある程度外国人の労働力を借りる必要がある。簡潔にいえば、これらが背景にあるものです。

最後に、今回の方針について、首相は「移民政策はとらない」とし、単純労働者の増加には否定的なようです。あくまで一定のスキルを持つ人で、理想(※理想通りいくかは不明)は即戦力の外国人が主のようですので(※今のところ)、事業主様におかれましては、採用計画策定の際には注意を要します。ちなみに、ビザの取得要件が緩和されたとしても、在留期間に上限を設け、永住権は付与せず、家族の帯同を認めない方針のようです。


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