最高裁判所のトップであります竹崎博允(たけさきひろのぶ)最高裁長官(69歳)が、2014年2月26日、3月31日付で退官することを表明し、退官願を内閣に提出しました。


■ 実績(※下記は一部のみ)


竹崎最高裁長官は、長官になられる前に、裁判員制度の設計に長く携わってこられました。

長官就任後は、記憶に新しいものとして、結婚していない男女間の子(非嫡出子)の相続分を結婚している夫婦間の子(嫡出子)の2分の1とする民法の規定を「法の下の平等を定めた憲法に反する」としたもの(最高裁大法廷決定平成25年〔2013年〕9月4日)があり、そこでは裁判長を務められました。


当ブログには上記決定の関連記事が複数あります。2013年9月4日の記事(http://kimuratokyo.doorblog.jp/archives/2013-09-04.html)などご参考になさってください。


■ 退官理由 (気になる背景)


憲法79条5項には、「最高裁判所の裁判官は、法律の定める年齢に達した時に退官する。」とあります。

ここでいう「法律」とは「裁判所法」を指しているのですが、同法50条には、定年70歳と規定されています。


竹崎最高裁長官は、2014年7月に定年退官予定だったわけですから、約3ヶ月残したタイミングでの退官となります。

健康上の理由から退官をお決めになったようです(各紙もこのように伝えています)。

最高裁長官が依願退官するのは、長い歴史の中で今回が2人目であり、かなり稀なケースといえます。


昨年7月にお目にかかったときには、お顔色も良かったので、健康上の理由とは、にわかに信じ難いものがありまして・・・予定通りあと約3ヶ月という期間を全うすることができないほどの健康上の理由ということですよね・・・

?・・・何らかの「???」が働いた可能性はないのか、と考えてしまいます(余談ですが)。


ちなみに、憲法には次のような規定があります。「天皇は、内閣の指名に基づいて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。」(6条2項)

天皇の任命行為は、名目的・儀礼的な意味を持つにとどまるので、この条文は、「内閣の指名に基づいて」に力点があります。つまり、ここでは、内閣が実質的な指名を行う権能を持つのであります。したがって、次の最高裁長官は、現在の内閣が(好む人物を)実質的に指名することが可能となります。


■ 異例で始まり、異例で終わる


竹崎最高裁長官は、2008年11月、東京高裁長官から最高裁「判事」を経ず、いきなり最高裁「長官」に大抜擢

され、当時、異例の人事として注目されましたが、最後も、任期途中での退官で、異例ともいうべきかたちで締めくくることになりそうです。


少し早いのですが、竹崎長官、お疲れ様でした。