先日、総務省は、2015年(平成27年)国勢調査(同年10月1日時点)の確定値として、「人口等基本集計」の結果を公表しました。
弊所は、遺言・相続業務、就労ビザ申請等外国人雇用のサポート業務など、少子高齢社会に法務の面から貢献する行政書士事務所として、この結果に注目しています。
新聞やネットでも数字を交えながらの類似の記事を読むことができるかと思いますが、 もう少し整理されたものがあってもいいのでは、という思いから、少し整理してみました。
ちなみに、2015年(平成27年)国勢調査は、大正9年に行われた最初の国勢調査から数えてちょうど20回目でした。

■「国勢調査」とは、そもそもなに?

国勢調査とは、日本における人口や就業実態などを把握するため、5年に1回実施する調査のことです。総務省が10月1日を基準日に約70万人の調査員を動員して行います。
一言で「国勢調査」と言っても、実は、いくつかの集計から構成されているのです。具体的には、大きく分けると、次の通りです。
①速報集計
②基本集計
③抽出詳細集計
④従業地・通学地集計
⑤人口移動集計
⑥小地域集計
正確には、以上の計6つの集計をもって、完全なる「国勢調査」と言えるのです。
ただ、ニュース、新聞等では、その内、①と②が大きく取り上げられる傾向が強いので、①と②で構成されていると思ってしまいがちですが。
①の内「人口速報集計」というものが、いわゆる「速報値」として、毎年調査翌年の2月に、そして、②の内「人口等基本集計」というものが、いわゆる「確定値」として、毎年調査翌年の10月に、総務省から公表されています。
なお、当ブログの本記事でいう「国勢調査(の確定値)」とは、「人口等基本集計」を指しますし、ニュースや新聞等で用いられている多くもこれを指しています。

■調査対象と利活用は?

まず、調査対象については、日本に3ヵ月以上住んでいるか、3ヵ月以上住むことになっている外国人を含む日本に在住する全員を対象にしています。
そして、今回(2015年)の国勢調査のように西暦の末尾が「5」の年は簡易調査で、質問項目は基本的な17項目。ちなみに、末尾が「0」の年は大規模調査で、前回(2010年)は質問項目が20項目でした。

次に、利活用についてですが、大きく4つ挙げられるかと思います。
①法定人口としての利用
②行政施策の基礎資料としての利用
③民間企業等での利用
④公的統計の基礎として利用
もう少しイメージしやすくするために、いくつか例を挙げましょう。
例えば、毎月1日現在の人口を算出する「人口推計」は、国勢調査を基に実施しています。また、民間企業等におけるマーケティングや経営判断にも利用されています。さらに、衆議院の小選挙区の画定にあたっては、国勢調査による人口を基準とすることが法律で定められています。

このように、国勢調査から得られる統計は、国・地方公共団体の政治・行政において利用されているだけでなく、民間企業等でも利用され、このような利用を通じて国民生活に役立てられているといえそうです。(つづく)