「自然減」。この言葉をご存知でしょうか。

「自然減」とは、死亡数が出生数を上回ること。言い換えれば、出生数が死亡数を下回ることです。
12月24日、厚労省が発表した2019年の人口動態統計の年間推計によると、日本人の国内出生数は、1899年の統計開始以来初めて90万人を下回り、86万4千人となりました(前年比5.92%減)。一方、死亡数は137万6千人。したがって、86万4千人-137万6千人=-51万2千人。つまり、冒頭の「自然減」が51万2千人に達したことを意味します。

イメージは湧きますか?
ちなみに、人口動態統計の年間推計は、日本人の海外での出産と外国人の日本での出産を含まずに算定されています。その上で、1年で日本の人口がごっそり50万人超減っていくというイメージです。
と言っても、50万人超という数字だけでは、いまいち具体的なイメージが湧きませんよね。そこで、イメージが湧くように、ある数字を挙げてみましょう。47都道府県別人口(総務省統計)から、人口順位47位の鳥取県の人口を見てみると、なんと約55万5千人でした。

いかがですか?「自然減」50万人超とは、今の鳥取県の人口のほぼ全員がごっそり日本から抜けてしまうようなイメージです(鳥取県民の皆さん、例に出してごめんなさい・・・)。
これで、どれほど衝撃的な数字なのか、おわかりいただけましたか?
これが現在の日本の危機的状況です。その背景には何があるのでしょうか。

これから益々加速する少子高齢化によりもたらされる「人口減」社会を見据え、私たちはどのような経済社会に転換すべきか、安直な発想から脱却すべき時が到来したのではないでしょうか。