今日は冷凍エビについてです。ここ数ヶ月、国際価格が上昇しています。
■ どれ位上昇したの?
一例を挙げましょう。今や日本ではポピュラーなタイ産のバナメイエビ(冷凍)の現地価格が、キロあたり約12ドル(約1,248円)と6月上旬頃と比べ約2.5ドル(約260円)上昇しています(日経参照)。これは短期間で約20%も上昇したことになります。
■ なぜこんなに上昇したの?
冷凍エビがここまで高くなった要因をまとめると以下のようになります。
・2013年、主産地のタイやアジア各国で、バナメイエビにウイルス性の病気(伝染病)がまん延したこと
・欧米での買いが膨らんだこと
・中近東での需要に供給が追いついていないこと
・タイの約4倍もの生産量を誇る中国が自国生産だけでは国内消費をまかなえきれず買い付けを増やしたこと
■ 本格的な値上がりはこれからか!?
上記の通り、バナメイをはじめ冷凍エビの国際価格は上昇していますが、日本国内の卸値や小売価格は昨年末と比べて安いところもあります。スーパーなどに通っていれば、分かると思うのですが。でも、なぜ?
どうやら、今出回っている比較的安いものは、安値のときに契約したものだそうです。高値の現地価格が反映されるのは、今年の秋以降だとか。年末になれば、エビ好きの日本人の需要は更に高まり、国内価格は高値となる可能性があります。
■ 「エビと日本人」という本、知っていますか?
世界的にみても日本人がエビ好きなのは有名です。日本人が消費するエビのほとんどがアジア各国からの輸入ものであり、日本人が食べるエビの9割以上が冷凍エビです。あの大手回転ずしや大手天丼のお店で使われているのも冷凍輸入エビです。肉や魚介は国内産を好む私たちは、なぜ、エビにはここまで輸入ものに寛容なのでしょうか。ちょっとした疑問ではありますが・・・
日本はエビの輸入大国でありますが、私はこれまで中国産のエビを見たことがありません。おそらく、皆さんもないのでは?中国からのが全くのゼロかは分かりませんが、日本は殆どをタイをはじめインドネシアやベトナムなどで養殖されたものを輸入しています。どのように養殖され、どれだけ日本人が消費しているのか・・・大分古い本ではありますが、「エビと日本人」(岩波新書)というなんともストレートなタイトルの本があります。薄い本ではありますが、いろいろと考えさせられる良書といえるでしょう。ちなみに、やや古い本ではありますが、同じ著者が「エビと日本人Ⅱ」(岩波書店)という本を書いています。ご興味のある方は、手にとってみては如何でしょうか。
■ 飲食店が心配
飲食店では、高値になったものを仕入れているお店も少なくないようで、エビの量を減らして出したり、メニューを変更したりといったお店も出ているのが現状です。値上げしたというお店は耳にしませんが、今後、ますます工夫を迫られるかもしれません。飲食店への影響が心配です。
お店を訪れるお客様には、量を減らしすぎてがっかりさせたくない。こんな気持ちで飲食店の方々はがんばっているのです。消費者側の要求があまりにも厳しすぎてしまうと、また偽装表示やメニュー偽装という問題(関連記事:当ブログの過去記事)を誘発してしまうおそれも(この点だけではありませんし、擁護するつもりもありませんが)。お忘れの方もいらっしゃるかもしれませんが、あのとき、登場したのも、バナメイエビでしたね。